「痛快!憲法学」
小室直樹著「痛快!憲法学」を読んでいる。まだ購入したばかりなので詳しいことはまた後日述べたいが、今日の憲法が持つ問題点を憲法学の立場から多角的に見つめた本書は、憲法を「聖書化」して解釈論に堕した巷の論憲など遠く及ばぬ高度な論理性に満ちている
憲法が国家権力を拘束する存在であることを説明するために登場する刑法の存在理由とその役割に関する記述などは、まさに目からウロコ。刑法違反を犯せるのは裁判官のみで、刑事裁判は検察官を裁く行為だとする著者の説明には、自らの無知無学を恥じ入るばかりだ
こうしたことを書くと、難しそうな本と敬遠されてしまいそうだが、まったくそんなことはない。内容は小室センセイと生徒シマジの対話による講義方式で進められ、複雑な理屈も身近な例にてらして説明しているので理解しやすくなっている。文章もなるべく平易な表現が採られているし、漢字にはルビもふってある(笑)あとは全部読んだ後に書ければと思うが「民主主義は至上の論理などではない」というわしの信念を強化してくれそうな内容も含まれていて、読み進めていくのが楽しみな一冊だ
拾い読みした中で、わしが普段から主張して止まない「平和憲法自慢の愚」を戒めた一節があったので紹介したい。
日本国憲法というのは世界で唯一の平和主義憲法であると、何の疑いもなく思っておられるのではないでしょうか。
しかし、これはとんでもない誤解です。日本の中ならいざ知らず、海外に行ってそんなことを言ってごらんなさい。「日本人というのは、何と世間知らずの連中か」と笑われること請け合いです。
(中略)
憲法に平和主義の条項がある国は、今の地球上にはそれこそ掃いて捨てるぐらいにある。しかも、戦争の放棄を定めた憲法は日本国憲法が最初ではありません
(中略)
お国自慢ほど聞き苦しいものはないと言うけれども、憲法自慢はやめておいたほうがいい。それが私からのアドバイスです。
いや実に痛快!ですな