半落ち
正月にWOWOWで録画。すっかり忘れていたのだが、メル友の一言で思い出し鑑賞
- 出版社/メーカー: 東映
- 発売日: 2004/07/21
- メディア: DVD
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寡黙で実直な元刑事を演じるのは寺尾聡。多くを語らずとも佇まいだけでその人柄や心の機微を表現する演技力と存在感はすばらしい。柴田恭兵演じる警察の取調官とのやり取りは緊張感もあり、なかなかに見応えがあった
アルツハイマーという人間の尊厳を損なう精神の病をどう捉えるか。自分が自分であることすら判断できず「魂」を失った人間が、それでも生き延びることが果たして最善なのか?完全に自己を失う前に死を選ぶことはできないのか?これがこの作品のテーマであろう。映画では死を「選択」した主人公夫婦の対比として、痴呆の父親の介護に追われる裁判官一家が登場する。ここで痴呆の男役を演じる井川比佐志の演技がすさまじく、より一層この問題を重いものにしている
結局のところ映画は、この問い掛けに対しさしたる答えを用意しない。ただなんとなく「こういう人がいました」と語るのみである。こうなると裁判官一家が登場した意味がイマイチ飲み込めない。せっかくの対比構造に意味が見出せないし、吉岡秀隆演じる裁判官はひたすら惨めにすら見えてしまう
物語の最後に明かされる空白の2日間の真実も、引っぱった割には面白みに欠ける。そもそも元刑事の男がなぜあそこまでひた隠しにするのか、その理由に乏しい。マスコミにその事実が露見することを恐れたのか?それともルール違反を犯してはならないという男の信念なのか?そうだとしても取調べや裁判を難航させるほどの理由にはならない気がする
この辺り、わしは例によって原作はまったく読んでいないので、原作ファンの人とは見方が別れるのかもしれない。どうも謎解きの部分で消化不良な感が強いのは原作を脚本におこす際のミスな気がして仕方がないのだが、、、