カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

「シルミド」

シルミド / SILMIDO [DVD]

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1960年代の終わり、韓国で実際に起きた事件を基にした映画、ということなのだが、わしはこの事件全然知らなかった。どの程度事実に近いのかはまったくわからないので、純粋に娯楽作品として楽しむことにする

娯楽作品として観ると、正直言って暑苦しい映画だ(笑)最初から最後までむさくるしいまでの男くささだけが画面を支配しつづける

前半は金日成暗殺を企図して集められた死刑囚たちが、過酷な訓練を受ける場面が延々つづく。ほとんど虐待に近い訓練の数々は、昔のスポ根ものの趣。痛々しい描写に顔を背けたくなる場面もあるが、思わず失笑してしまうような無茶なものも少なくない。命を賭けた猛特訓に彼らの使命の重みを感じる真面目な人もいるかもしれないが、不真面目なわしはギャグかと思ってしまった

訓練の場面を通じて、各人のキャラクター付けがなされるのだが、これがどうにも不十分。冒頭で主要登場人物についてはそれなりに背景が示されるものの、どうも記号的で、現実感を伴わない。コメディリリーフ的なキャラクターも登場するが、物語のスパイスとしての役割は不十分で、ハイテンションの鬱陶しさだけが残る。俳優の熱演は認めるが、アップの連続で怒鳴りつづけられるのは観客の側としては少々つらい

本来この映画が描くべきだったのは、こうした歴史の陰に埋もれていった684部隊の構成員それぞれの人生ではなかったか?と思うのだが、結局訓練から挫折、そして自死といった物語のキーワードをなぞることに終始してしまい、人物を掘り下げる作業に手が回らなかった感が強い

戦闘シーンの迫力はそれなりにある。銃器マニアではないので、詳しくはわからないが、そこだけを抜き出せばそれなりに良い出来なのではなかろうか?

淡々と「こんな事件がありました」ということだけを語る映画なら、これでも良かっただろう。事実に忠実になろうとすれば、人物像に込める創作的要素も抑える必要があったのかもしれない。しかし、エンドロールに書かれた作品製作の主旨(「亡くなった684部隊の隊員たちに捧げる」というもの)を考えるとやはり人物を多角的に描けなかったことは失敗と言われても仕方が無い気がする