カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

「アイアン・ジャイアント」

アイアン・ジャイアント 特別版 [DVD]

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Mr.インクレディブル」の監督、ブラッド・バードの旧作。BS-hiで放送されたので見たのだが、想像以上によく出来た作品だった

舞台は1950年代、人工衛星開発競争でソ連に遅れをとっていた時代のアメリカの田舎町。その郊外に住む動物好きの少年ホーガースは、森で突然空から降って来た鋼鉄製の巨人と出会う。ホーガースは巨大な図体ととてつもない力を持ちながら、純粋で心やさしい巨人と心を通わす。そこへ政府の秘密機関が調査員ケントを派遣する。巨人とホーガースの関係を疑うケントの目をなんとかごまかし続けるホーガースだったが、ついに巨人の存在をつきとめたケントは街に軍隊を送り込む、、、といったストーリー

物語はずばり言ってしまうと「フランケンシュタイン」の亜種なのだが、巨人の描き方がすばらしく、終盤の心ならずも暴走を止められない巨人の姿に感情移入せざるを得ない作りになっている。鋼鉄の巨人という無機的なキャラクターに実に繊細で多彩な感情を持たせ、説得力を持って観客に見せる技は、そのデザイン、演出ともに見事と言うほかはない

惜しむらくはあまりのテンポの良さ故、少年と巨人の心の交流に浸れる要素が少ないこと。もう少し観客にとっての「幸福な時間」を与える余裕が欲しかった。そのため、わしは最後まで涙が出るほどの心理的な隙を作るには至らなかった

この映画を見て、暴力の応酬に対する皮肉と風刺が込められている、と見る向きもあろうが、それは作品そのものの持つメッセージ性から言えばあくまで副産物的なものでしかないだろう

この映画が対象とする観客はこれから先の長い人生を歩む子どもたちだ。映画はその子どもたちに「なりたいものになりなさい」と訴えかける。このメッセージは「良き心・正しき心に従いなさい」という意味合いも内包する。大人にとっては気恥ずかしいまでに実直なメッセージではあるが、むしろそれが、どこか懐かしさを覚える作画と相まって、「正義」を疑うことなく受け入れることができた時代の郷愁を誘い、清々しい