カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

「トスカーナの休日」

トスカーナの休日 [DVD]

トスカーナの休日 [DVD]

デジタルWOWOWにて鑑賞。ハイビジョンの精細な映像で映し出される目にも鮮やかなトスカーナの風景が実に美しく、派手なアクションは無くとも、大画面で鑑賞するにふさわしい作品と感じさせる

物語は夫に裏切られ、傷心の作家フランシス(ダイアン・レイン)が旅先のトスカーナで古家を購入し、新しい生活を始めるというもの。女の幸せを求めて悪戦苦闘の日々をおくるフランシスは、男のわしから見ると本当に可愛らしい。齢を重ねてなお魅力を増したとさえ思えるダイアン・レインの熱演が良い

愛する男との新たな家庭を夢見て行動するフランシスだったが、ロクに言葉も通じないイタリアの片田舎での生活は孤独そのもの。家の契約や改装で出会った人々との交流はあるが、当初はそれを疎ましくも感じている。しかしそれでも日々は流れていく。嵐の夜に一人きりの心細さで押しつぶされそうになるときもあれば、出先で出会った若い男との関係に女としての自信を取り戻して狂喜したりもする。フランシスを取り巻く日常のありふれた一喜一憂が丹念に描かれるため、観客は彼女の心象に自然に感情移入してしまうようになる

周囲の人々と交流を深めていくうちに、フランシスは自分が決して独りではないことを知り、かつて自分の望んだ「家族」が目の前にいることに気づかされる。この瞬間に彼女は過去の呪縛から解放され、心の平安を得る

この作品の人間への視点はどこまでも優しい。愛憎の厳しい現実も描きはするが、若い熱情も決して否定しない。それを「甘さ」と捉える向きもあろう。解放されたフランシスがあまりに一気に幸せに向かうラストをご都合主義と見ることもできよう。娯楽映画としてのカタルシスにもやや欠けるかもしれない。しかしそれでも人を幸せな気分にしてくれるこの映画は、抗しがたい魅力に満ちている

幸せのカタチは一つじゃない、ということを教えてくれる、そんな映画だとわしは思う