カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

舞台「十二人の優しい日本人」

デジタルWOWOWでのHV生中継を録画で鑑賞(ややこしい)

もしも日本に陪審員制があったら?という設定のもと、個性的な十二人の陪審員たちが事件の真相をめぐって果てなき議論(?)を繰り広げる法廷劇。といってもそこは三谷幸喜脚本。まったくお堅いところはなく、シリアスになりそうな場面でもくだらない笑いの要素を散りばめてコメディの本線を決して踏み外さずに進行する

古畑任三郎」でもいつも感じることだが、彼の脚本中に描かれる事件とそのカラクリ自体には穴が多い。「十二人の〜」で扱われる事件も陪審員たちの議論の中で語られる「真相」については矛盾や疑問が残る。が、この作品に「謎解き」の楽しみを求めるのはそもそも間違いというものかもしれない

この作品が描くのは、アクが強いながらも誰一人例外なく「日本人的」なキャラクターたちの会話劇であり、堂堂巡りの議論の末に何も決められないという日本的合議の滑稽さそのものであろうと思う

その場のほぼ全員が同意見となると思わずその雰囲気に流されて同意してしまう、説得力ある意見の前にコロコロと自分の立場を二転三転させる、感情論に走って論理をまったく無視し自分の主張を押し通す、異論があるうちは何も結論を出せない等々、、、劇中に登場する人物たちのこれらの行動パターンは、みな日本人自身が考える日本人らしい性質を見事に描いてみせたものと言えるだろう

したがって観客は登場するいずれの人物にも「こういう人、よくいるよな」といった既視感、「うんうん、わかるわかる」といった共感、「鬱陶しいヤツだなあ」的反感などの感情を持って接することになる。そうした諸々の感情のうちに次第に自らも劇中へと引きずり込まれていき、いつのまにか「十三人目の陪審員」となっている自分に気づかされる

わし自身も、個人的感情から被告をかばう温水洋一に苛立ち、理性的でありながら非難される生瀬勝久にシンパシーを感じ、格好よく頭も切れる江口洋介には嫉妬すら覚えた

巧みに構成された会話の面白さをプロフェッショナル揃いの役者陣が余すことなく伝える。極上のエンターテインメントに仕上がっていると言えるだろう