カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

「カーズ」

すっかりご無沙汰。別に死んでいたわけではないのだが、やや気力が沸かない感じ

んで、「カーズ」は久々のDVD購入にて鑑賞

カーズ [DVD]

カーズ [DVD]

いつも高レベルの作品を作りつづけているピクサーの最新作。今回も合格点を与えられる出来ではあったものの、前作「Mr.インクレディブル」に比べると、今ひとつパンチに欠ける印象

作品は「車たちだけの世界」を舞台に描かれる。真っ赤なボディと稲妻ステッカーがトレードマークのライトニング・マックイーンは最高峰のレース「ピストンカップ」でチャンピオンを目指すルーキー・レース・カー。年間チャンピオンを決定するレース会場へ向かう途中トレーラーとはぐれ、ルート66号沿いにあるさびれた田舎町ラジエター・スプリングスに迷い込む。町を荒らした罰としてマックイーンは道の修理をするはめに。当初は田舎者の住人(車か)たちを嫌い、逃げ出そうとばかりするマックイーンだったが、町で暮らすうちに自分の人生に欠けていたものに気づき始める、、、といったストーリー

相変わらずの精緻なCGには圧倒される。とくにレースの場面などは実写ではありえないアングルとカメラワークでスピード感溢れる映像が迫力のエキゾーストノートとともに楽しめる。マシンが駆け抜けるコース上にタイヤカスが散らばる様子までしっかりと描いたディテールの細かさには脱帽だ

レースの描き方も本物のレース戦略に近いものになっている。クラッシュでペースカーが入り、その間にピットワーク、ペースカーの前に出ることで一周近い差をリカバー、、、といったレースファンでないとなかなかわかりにくい展開もちゃんと描いている。こうした部分がリアルに描かれている分「バックギアでそんなスピードは出ない」とか「レースカーがカウンターステアも知らんのか」といったツッコミも出てこようが、あれはあくまで擬人化されたキャラクターがやっていることなのだ、と思えば気にするほどのことでもなかろう

以上のように映像と音響の出来、ディテールの部分に関しては文句のつけようがないのだが、肝心のストーリーの方はやや陳腐な印象が拭えない。「スピード」に生きるマックイーンが「スロー」な生活を送るラジエター・スプリングスの素晴らしさに目覚める、というのはわかりやすいと言えばわかりやすいのだが、その辺のマックイーンの変心の描き方があまりに安直。もしかするとアメリカ人ならあの安いノスタルジーにも浸れるのかもしれないが、アメリカの古きよき時代や自動車文化に思い入れのない日本人のわしの心には響かなかったし、たぶんこの映画が対象とする子供たちの大半にも理解不能だろう

車のキャラクターというのも、どうも感情移入しづらいのだが、タイヤ屋のイタリア車がレース好きだけどフェラーリにしか興味ない、という設定が個人的にツボ。ただチンクエチエントがフェラーリ好きって、ちょっと問題ないか?

ラストがあまりにベタすぎなのもちょっと気に入らない。あそこまで良い子ちゃんになってしまうと、天邪鬼的には素直に主人公を称えようという気になれない。子供向け作品としてはあれで良いのかもしれないが、あまりご教訓的になってしまうと面白くない

それでもあえてピクサーだから苦言を呈しているだけのことで、映画の出来は十分に及第点に達している。それを承知でもう一つ言わせてもらえば、やや尺が長い。「トラクターころがし」が余計だったと思うのはわしだけだろうか?あのシーン、ちっとも面白くないし無駄に長い。あれを削ればもっとすっきりした作品になったろうに、と思うのだが