カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の47歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

武士の一分

WOWOWにて鑑賞

武士の一分 [DVD]

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藩主の毒見役・三村新之丞は妻の加世と貧しいながらも幸せに暮らしていた。ある日、新之丞は毒見の際に食べた貝のために失明してしまう。一時は絶望し自害を決意した新之丞だが、加世の支えと家禄が据え置きになったこともあり、平静な暮らしを取り戻す。そんな中、叔母の言葉から加世の行動に不審を抱いた新之丞は藩の番頭、島田藤弥と加世との不貞を知ってしまう。家禄安堵と引き換えに島田に体を預けた加世を新之丞は離縁する。しかしその後、実は家禄安堵は藩主の独断であり、島田はただ加世を弄ぶためだけに騙したことをつきとめる。新之丞は不埒者・島田との果し合いに自らの「武士の一分」を賭ける、、、といったストーリー

藤沢周平の世界を山田洋次が映画化したシリーズの一つ」という認識だったのだが、その第一弾となる「たそがれ清兵衛」とはかなり趣を異にする作品。ストーリーだけを見れば、「貧しい下級武士」「寄り添う美しく貞淑な女」「普段は小役人だが実は剣の使い手」とかなり多くの共通する要素があるのだが、なぜこれほど視聴後の印象が異なるのか不思議。映画を観ながら強く感じていたのは奇妙なまでの閉塞感。ほとんどのシーンがスタジオセットで撮影されている*1せいか、新之丞の住む町の規模や距離感など、空間的な広がりがまったく感じられない。本来のドラマとは一切関係ない部分なのでそれほど気にしなくても良いのかもしれないが、名手・山田洋次だけにそのこだわりの無さに不満が残る。おそらくこの空間感覚の無さが先に書いた印象の違いになったのだろうと思われる

キャストはむやみに豪華。映画の始まりからたったの15分で小林稔持は死んでしまうし、大地康雄や緒方拳ですらチョイ役。とは言え、あまりテレビで見慣れた顔ばかり並ぶと興ざめということもままあるので、彼らを脇にして、檀れい笹野高史坂東三津五郎といった普段あまりブラウン管でお目にかからない役者をメインに配したのは好印象。それぞれのキャラクターが醸し出す雰囲気もなかなかのものだ。主役の木村拓哉に関しては、少々役作りの方向性に違和感を覚えずにはいられなかったが、要はいつもの「キムタク節」を貫いただけのこと。キャスティングした時点で役柄の幅の狭さは承知だったはずなので、その是非を問うても仕方ないのかもしれない

ただ一ついただけなかったのが、盲になった新之丞が剣を構える際、妙な前傾姿勢になってしまっていたこと。必死に音や気配を感じとろうとする様子を表現したのだろうとは思うが、あまりに直接的すぎ。変に小芝居を入れず、使い手らしく泰然とした構えの中からでも決死の緊張感は生み出せたと思うのだが

とは言えここまでやれれば及第点。太刀さばきはなかなかのものだし、活舌が今一つなことを除けば減点要素はあまり見当たらない。「スーパースター・キムタク」の色眼鏡を取り払って観れば、悪くないとわしは思う

映画作品としては小粒ながらそこそこに楽しめる。ベタな話だしワンエピソードで2時間という点に物足りなさを感じる向きもあろうが、その分まとまりはある作品に仕上がっている。気楽に観るのが吉だろう

*1:この辺、木村拓哉のスケジュールに要因があったのかも?などと思わず邪推してしまう