カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

ピアノの森

テレビで「のだめカンタービレ」が放送されていたので、対抗して「ピアノの森」を観る

ピアノの森 [スタンダード・エディション] [DVD]

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連載開始当初は講談社アッパーズ、今はモーニングに連載中の一色まことによる同名漫画が原作。映画は主人公一ノ瀬海と雨宮修平の出会いから、全日本学生ピアノコンクールの予選会に出場するまでを描く

尺の関係上かなりの部分を端折っているとは言え、ほぼ忠実に原作の内容をトレースしている。あまりにキレイにまとめすぎたせいか、テレビシリーズの総集編を観ているような気分になってしまい、映画的なスケール感や盛り上がりにはやや欠ける。ファミリー向けの映画としては非常に良く出来ていると思うが、原作ファンのわしとしては不満点も少なくなかった。一番気に入らなかったのは細かいことだが、クライマックスとなるコンクールでの海の演奏シーンで「一緒に行こう、森へ」の前にあった「観客は、アリンコ一匹。感謝」というモノローグ、さらに演奏後、まともにピアノを聴いたことの無い客席の中年男性が海を褒める場面、この2つを削ってしまったこと。これらはその後の海が本格的にピアノにのめりこんでいくきっかけとして描かれた重要なシーン。いくらこの映画中必要ないとは言え、丸々削ってしまったのは納得がいかなかった。そのほかにも「森の端」が毒をほぼ完全に抜いて描かれてしまっているため、母親が娼婦なのか出張ホステスなのかすらわからなくなってしまっていた。これだと海の生い立ちがいかなるものなのかわかりにくく、ただの貧乏家庭みたいに見えてしまう

ただし、わしの不満点は原作ファンゆえのものなので、映画単体として観れば悪くない。本当に音が聴ける、という点では原作にはない魅力もある。その音楽の魅力もちゃんと生かされているので、小さな子どもと一緒に観ても十分に楽しめることだろう

若干CG製作の平板さを感じさせるものの作画のレベルは総じて高く、安心して観ていられる。不安要素だった声の出演はやはりこの作品の弱点になってしまったと言わざるを得ない。上戸彩にしても神木隆之介にしても雨上がり宮迫にしても、ひと声聴いただけでそれとわかってしまうのは、作品への精神の集中を妨げる要素にしかならない。興行的な目玉を作りたかった事情はわからないでもないが、この辺はもっとうまい役者を配して欲しかった