カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

ウォーリー

ずっと楽しみにしていたピクサーの最新作。これは何としても劇場で観ておかないと、ということで息子を両親宅に預けて観てきた

ウォーリー [Blu-ray]

ウォーリー [Blu-ray]

一応ネタバレあるかもしれないのでこれから観る人はご注意あれ
自らの出したゴミに埋め尽くされた地球から人類が去って700年。荒れ果てたかつての大都市に残されたゴミ処理ロボットのウォーリーは、突然現れた謎のロボット・イブに恋する。ある使命を果たして再び宇宙へ戻る彼女(?)を追い、ウォーリーは未知なる世界へと飛び出していく、、、といったストーリー

「主人公は地球に唯一体残されたゴミ処理ロボット」「ウォーリーは感情を持ち他者と繋がること、心を通わせることを夢見る存在」「イブは人間が遣わした探査ロボット」というような基本的な設定が台詞をまったく介さず、ほぼ演出だけですべて理解できるようになっている。しかも同時にウォーリーの一挙手一投足から、観客は彼(?)を愛すべき存在として認知し、感情移入してしまうようになる。この辺の描き方が実に巧みで唸らされてしまう

もう一つ唸ったのはキャラクターデザインのセンス。同じピクサーの「カーズ」では「ウォーリー」同様非生物を描いていたが、それはあくまで擬人化された存在であって感情表現の方法にも一定の法則が存在した。しかし「ウォーリー」では多少人間的に描かれつつも一応非人間であるという設定上の体裁は保たれているし、ウォーリーが非常に工業製品然としたメカニカルなデザインであるのに対して、イブはそのデザインコンセプトから感情表現の方法論に至るまでまったくウォーリーとは異なるものになっている。にも関わらず両者の心の機微はしっかりと描き分けられ、観客は同等にそれを理解することができる。もっともそれは計算された演出というよりも自然発生的なものなのかもしれないが

小ネタの数々もちゃんとストーリー上の意味を与えられつつ、洒落が利いている。冒頭でウォーリーが流している映画「ハロー・ドーリー」の曲は「日曜日の服を着て、世界を見に出かけよう〜」ってな歌詞で、限定的な状況下で延々単一の作業に勤しむ彼への皮肉のようでありながら、その後の彼の旅立ちを予感させる。充電後のウォーリーの再起動音がマックOSのものになっていて、彼が現代に近い時代に誕生したことをうかがわせる*1、等々

ただし不満も無いわけではない。ストーリーははっきり言って凡庸。オートパイロットがあそこまで地球帰還を阻止する理由がよくわからないなど、構成の破綻も見えなくは無い。機械に頼りきりで生きてきた人間達の現状はもっと危機的なもののはずだが、その辺の危機感はほとんど感じられず非常にお気楽。どんな危機に陥っても安心して観ていられるのはファミリー向け作品である以上仕方ないのかもしれないが、緊張感とカタルシスを犠牲にしているのは明らか。ここがディズニーという大資本の下で、常に客層を絶対的に意識せざるを得ないピクサーの限界なのかもしれない

不満も書いたが、これは常にハイレベルの娯楽作品を産みだしつづけるピクサーへの高い期待故。娯楽作品として十分高いクオリティーを持った作品であることは間違いない

*1:ただの遊びかもしれんが