カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の45歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

クライマーズ・ハイ

気になりつつも観る事ができずいた「クライマーズ・ハイ」をレンタルDVDで鑑賞

1985年夏、北関東新聞社の記者悠木は同僚と共に谷川岳の衝立岩への登山を計画する。駅に向かおうとした悠木のもとに日本航空のジャンボ機がレーダーから消えたとの連絡が届く。社長に呼び出された悠木はこの事故報道の全権デスクを命じられる、、、といったストーリー

大スクープを前に全身全霊を傾けて報道に挑む新聞記者たちの姿がリアル*1に描写されている。記者達の取材行動のみでなく、記事がいかにして取捨選択の上に紙面に配置され、印刷され、購買者各戸に届くのか、というところまでしっかり描いているのが良い。編集、販売、広告といったセクション間の独立性、せめぎ合い、軋轢といった新聞社特有の問題はもちろん、旧弊にとらわれ頭の固い上層部と部下への理不尽な命令、業務外労働の強制など、企業組織が抱えるごく一般的な問題には、見ていて思わず頷いてしまった人も少なくないことだろう

役者の演技も良い。主演の堤真一も良かったが、暑苦しいまでの熱意をにじませた一線記者を演じた堺雅人、管理職という立場に縛られつつも報道人としてのプライドと使命感を併せ持つ報道部長を演じた遠藤憲一の2人が特に素晴らしかった

新聞社に勤める身からすると、マギーが演じた多様な状況に即座に対応できる「使える」整理記者、でんでんが演じる役員と同世代でありながら現場で自分よりも若いデスクの背中を押すベテランには「いるいる、こういう人」という感じで非常に好感を持ってしまった

地方新聞社という極めて特異な企業構造とそこに渦巻く人間模様を活写した本作品だが、わしが特にも感銘を受けたのは、事故調による圧力隔壁主因説という大スクープを逃した後に被害者の遺体から発見されたメモを読み上げ、それを一面トップで扱おうとする場面。あの当時、どこか蚊帳の外の出来事であった大事故が初めて生々しく世の人々に伝えられたのは、正にこのときだったのではないか。急速降下中の航空機の中、気も狂わんばかりの絶望的な状況下で記された家族へのメッセージ。揺れる機体の中で書かれたであろう乱れた筆跡に、そこににじむ悲しみや悔しさ、愛情が紙面やテレビ画面を通じて報じられたとき、わしらはようやく事の本当の重大さを知ったのではなかったか。そんなことがありありと思い出され身震いがした

クライマーズ・ハイ」というタイトルに関わる悠木の選択を描ききれたかどうかについては、若干納得の行かなかった部分もある。が、活劇としては十分な出来。新聞記者を目指す人は「大きな嘘が無い」という点で見ておいて損は無いだろう

*1:多少誇張はされているが

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