カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

「タイムライン」

タイムライン [DVD]

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デジタルWOWOW(HV放送)にて鑑賞

中世フランスの遺跡の発掘現場から現代のものと見られる書簡が発見される。それは発掘の指揮を取る考古学教授からの助けを求めるメッセージだった。教授の息子は発掘チームの仲間とともに物質転移装置でタイムスリップ、教授の救出に向かう、、、とまあ、だいたいこんな筋立て

開発中の物質転移装置の実験中、偶然特定の時代と繋がるワームホールを発見する、という設定はまあまあ面白い。が、SF的面白さはそこまでで、あとは理屈そっちのけのご都合主義まっしぐら。全編考えるだけ馬鹿を見るというくらいのいい加減さが横行し続ける

最初のうちこそ「過去に干渉してはならない」というタイムスリップ物のお題目を唱えはするものの、後半はすべて忘れ去ってしまったが如く干渉しまくり(笑)そもそも一番しっかりしてなければならないはずの教授自身がちょっと脅されただけで即座に主義を翻して、新兵器を作っちゃったりするくらいで、その辺の倫理観念はもはや滅茶苦茶

物語の仕掛けも薄い。同時進行する現代と過去の描き分けがちっともうまくいっていない。そのため、現代に帰ることが困難な状況下でのタイムリミットとの闘い、という物語最大の仕掛けにまったくと言っていいほど切迫感が感じられない。しかも主人公のはずの男(教授の息子)は最後までまったく役立たず。主体的に物語に関わることがなく、局面を切り開くアイディアも持っていない。適当に逃げ回っていたら生き残ってしまっただけのキャラクターとしか思えず、そのあまりのダメ男ぶりには心の中で「お前いらんやんけ!」と何度も叫んでしまった

設定も不自然。物質転移装置を開発した企業が装置の存在を隠している理由がまったくわからない。悪役として登場するその企業の社長も何を意図しているのかさっぱりわからず、物語上主人公たちから見て「敵」と見なすにしても、「悪」たる説得力にはイマイチ欠ける。もっと細かいことを言ってしまえば、ただの考古学者が中世の剣の手足れと普通に闘えてしまうのもおかしかろう

タイムスリップ物はどうしても物語の粗探しに走ってしまいがちなのだが、時系列の矛盾を突くまでもなく、これほどツッコミどころ満載の映画も珍しい。それでもなんとなく最後まで観られてしまうのは、中世騎士の登場する戦闘シーンの迫力やディテールがもたらす魅力あってのことなのだが、それ故に余計に脚本のダメダメっぷりが腹立たしい作品となっている