ローリング・ストーンズは現役だ!
たぶん全国35万人くらいはいると勝手に思っているストーンズファンを熱狂させたア・ビガー・バンツアー日本公演も今日のナゴヤドームで千秋楽。今回わしの参戦はさいたまスーパーアリーナ一回きりだったこともあってか、随分短い来日公演だったなあ、というのが率直な印象。メンバーの年齢、健康状態を考えると、これが最後の来日なのでは?との噂も妙に現実味を帯びて響き、一抹の寂しさを禁じ得ない
メンバーで一番若いロニーですら還暦手前、チャーリーは65くらい(?)でガンの手術を受けたとかなんとかいう話もチラホラ伝わってきてる、キースはこれっぽっちも健康なんかに気を使ってるとは思えないし、確かに今回のような大規模なツアーはこれが最後だとしても不思議はない
そもそもあの年齢のロックバンドが存在すること自体が奇跡なのだが、その上現役バリバリで世界ツアーをやっているなんて考えてみると異常な事態なのだ
何しろミックやキースはうちのオフクロ(典型的オバハン)とタメ。そこらの会社にいる部長さん達より年上なんだから!そう考えるとキースがゾンビみたいに老けたとか、ロニーがちょっと元気ないとか言ってみたところで、それでも十分普通じゃない若さなのだということに気づかされる
そして何と言ってもミック・ジャガーの若さ。思えばわしが初めて生のミックを目にしたのは88年(18年前!!)のソロ来日時。高校生だったわしは盛岡で限定枚数チケットが発売されることを新聞記事で知り、中間テストの中日であるにもかかわらず早朝一番列車で一時間かけて盛岡へ向かい、寒空の下4時間近く待ってアリーナ最後方のチケットを手にした。初めて見たミックのパワフルなステージ。ストーンズとは違ったが、日本には来られないものと思っていた本物のミックが同じ空気を吸っているということに異常な興奮を覚えた。と同時に当時40代半ばのミックがあんなにも若々しく動き回れることに少なからず感動したものだった
時を経て齢60を超えたミックは、動きもスタイルもあの初来日時とほとんど変わっていなかった。顔はしわくちゃだが、あのステージアクションのキレ、走りながらでもまったく息を切らさずに歌いつづける脅威の心肺能力、割れた腹筋、ぴったりタイトなパンツを履いても少しもタレの見当たらないケツ、そしてそのケツを振る振る振る!レイザーラモンHGだって60超えてあれだけ腰を振ることはできないだろうし、60歳現役を実現した御大、故・G馬場氏だってただリングに立ってるってだけだった。カール・ゴッチやルー・テーズだってやっぱり60過ぎたら体はダブついてた。いやプロレスネタはどうでもいいんだが、、、実際に見た人なら同意してもらえると思うが今のミックは空前絶後、史上最強、世界一動ける62歳だと断言できる
一体どんな節制と鍛錬をしてるんだか。きっと長渕剛も真っ青の猛烈な鍛え方をしているに違いない。いや、長渕剛がどんだけ鍛えてるのか全然知らないけど
だいたい50も過ぎれば人間頭は禿げて腹も出てくる。白人はとくにその傾向が強い。そうなるとツアーをやると言ってもだいたいはベンチャーズのように「思い出の名曲コンサート」「あの日あのときナツメロステージ」と化すのが普通。今やストーンズより遥かに若いディープ・パープルやホワイトスネイクですらその範疇に入ってしまっている。だがミックをはじめストーンズが連中とはっきり一線を画すのはその「現役度」の高さだろう
前回のリックスツアーのとき、ややこの「ナツメロ大会」的イメージが強かったことが実はちょっと不満だった。ファンの間でも「今日はあの曲をやった」「あんなレア曲が聴けた」的な話題が中心で、「新曲なんていらねーよ」というような話を聞くたび「確かになあ」という思いと「ストーンズはナツメロバンドじゃねえ」という反発が相半ばしていた
そういう意味で今回のステージは本当に良かった。ちゃんとニューアルバムを引っ提げてのツアーだし、そのアルバムからの曲もものすごくカッコ良かった(個人的には「Drivin' too fast」が聴きたかった!)。演奏もミスはあっても良かったと思うし、ミックの声の調子はこれまでの来日公演の中でも最高の出来だったと思う
できうることならこの異常な連中をまだ見ていたい。もはやチケットの高騰も仕方あるまい。むしろ変な芸能人や珍しいもの見たさのオバハンあたりが排除できて良いかもしれん。さいたまでは「また来いよ」の願いを込めたメッセージボードも掲げてきた。見てくれたかどうかはわからんけど、思いは届いたと信じたい
絶対また来てくれよな!転石永遠!わしも転がるぞ!コロコロコロコロ(丸いのでよく転がる)