カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

「たらい回し」とは言うものの

時事ドットコム

「たらい回し」、3年間で2452件=妊婦搬送受け入れで−総務省消防庁厚労省

 救急車などが妊婦を搬送中、医療機関に2回以上受け入れを拒否された件数が、2004年から06年までの3年間で2452件に上ることが26日、総務省消防庁厚生労働省が行った全国調査で明らかになった。受け入れ先に収容されるまで3時間半かかったケースもあり、医療体制の不備で多くの妊婦が「たらい回し」にされている実態が浮き彫りになった。
 これを受け同庁は同日、全国の消防本部に対し、妊婦を含めた患者の搬送時に医師の指示を受けて救急処置ができる救急救命士などが医療機関に連絡することや、患者の特徴的な症状などを的確に医療機関に伝えるよう、都道府県を通じて通知した。
 調査は、奈良県在住の妊婦が今年8月、受け入れ病院が決まらず救急搬送中に流産した問題を受け、全国の消防本部を対象に実施された。
 それによると、06年の1年間に2回以上「たらい回し」されたケースは、東京都が279件と最も多く、次いで神奈川県(247件)、大阪府(137件)と、大都市ほど受け入れ拒否が多いことが分かった。最多は東京都の事例で、受け入れまでに26回拒否されていた。3年間でみると、受け入れ拒否回数が10回以上の件数は全国で61件に上っている。
 受け入れ拒否の理由(06年)では、手術スタッフがそろわなかったり処置のための設備などがなかったりする「処置困難」が26.6%で最多。「手術・患者対応中」(17.2%)、「専門外」(11.7%)などが続く。

最近マスコミがこぞって書き立てる「妊婦たらい回し」の問題。我が家でも現在約1名妊婦を抱えているので他人事とは思えない問題ではあるのだが、「たらい回し」だけをクローズアップして「医療の怠慢」や「救急医療体制の不備」を叩く方向に行っているのはどうもおかしい気がする

「たらい回し」とされる個々の事例をよく見ていくと、確かにベッド不足や医師不足などの問題もあるものの、「かかりつけ医院無し」「受診回数ゼロ」などのケースも多々見られる。妊娠がわかっていながら、かかりつけの医院が無いとか受診したことが一度も無いとはどういうことか?結論から言ってしまうとここには妊婦(とその家族)自身の自覚の問題が大きく関わっているとわしは見ている

うちの場合は月のモノが遅れた時点で相方が妊娠検査薬でチェック。反応が出たので病院へ行って妊娠を確認した。普通はこの時点で自然に「かかりつけ医院」ができるはず。妊娠の状況や予定日がわかると、その段階ですぐに分娩の予約を取るように医師に勧められた。予約を取らないとベッドが確保できないとのことだったので、うちではすぐに予約したのだが、先に挙げた「かかりつけ医院の無い妊婦」が、急に産気づいたからと言って半年以上も前から予約していた相方を押しのけて分娩室に入ったとしたら、たぶんわしは怒るだろう

恥ずかしながら相方が妊娠してから知ったのだが、妊婦の検診は基本的に保険が利かない。よって出産までには多額の診療費を必要とする。「かかりつけ医院の無い妊婦」や「受診回数ゼロの妊婦」の中には経済的事情をその理由に挙げる人も多いと聞くが、正直それがわかっていながら妊娠してしまう無責任さにも憤りを感じてしまう。もちろん「少子化対策」が叫ばれている中で、妊娠、出産に際してのリスク、負担が大きすぎるという非難は十分に理解できる。妊娠、出産への助成はもっとあっていいとわしも思う。しかしそれと医療現場への責任追及はまったく別個の問題だ

医師としては自分が長く担当している患者(妊婦)が順番を待っている状況で、受け入れリスクの大きい急患が来たら、当然の判断として拒否せざるを得ないのではなかろうか?まして自分が一度も診たことのない患者(妊婦)なのである。胎児の健康状態も、患者が血液感染症を持っているのかどうかもまったくわからないのだ。こういう場合の受け入れ拒否は、リスクマネージメントの範疇に入るとわしは思う

無論さまざまなケースがあることは承知している。わしが知らないような本当に酷い現場もあるかもしれない。しかしこうした一方的な報道姿勢が、ただでさえ少ない産科医の成り手を減らすことになりはしないか?と考えると、そう容易には受け入れられないものを感じてしまう