カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

最高の人生の見つけ方

レンタルBDで鑑賞。予告編は見たことがあって、ありきたりな感がして期待していなかったのだが、意外に悪くなかった。正直、邦題でかなり損をしていると思う

最高の人生の見つけ方 [Blu-ray]

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自動車整備工のカーターと実業家で大金持ちのエドワードは入院先の病院で相部屋となる。共に末期がんで余命6ヶ月と知った二人は、カーターが死ぬ前にやっておきたいことをメモした"棺おけリスト"を実行すべく、周囲の反対を押し切って旅に出る、、、といったストーリー

命の期限を知らされたとき、死ぬまでに自分が何をしたいのか?それを問うたところでそれを実現できる人はそうそういないことだろう。しかしこの映画に登場するエドワードは無尽蔵の資産を持つため、サーキットを貸切にしてあこがれのスポーツカーを好きなだけ乗り回し、プライベートジェットで世界中を飛び回る。最初のうちはそのやりたい放題の解放感が爽快なのだが、だんだん食傷気味になり、あまりの金持ちっぷりが厭味にすら感じられてくる。しかしこの映画はうまくできていて、ちょうどゲップが出そうになるタイミングで物語はそのトーンを変え、ターニングポイントを迎える

エドワードは妻以外の女性を知らないカーターに魅力的な美女をさしむけ、カーターは別れて久しい娘のもとへとエドワードを連れて行く。そのお互いの作戦は見事に失敗し、仲たがいした二人はそれぞれの場所へ帰っていく。エドワードは妻と子供たちの暮らす家で短いながらも幸せな時間を過ごす。ついに倒れたカーターの病床を訪ねたエドワードは、リストの残りを託される。カーターの思いを胸に娘を訪ねたエドワードは「世界一の美女にキスをする」という夢を実現する。3ヶ月前まで赤の他人だった2人が互いに人生の喜びを与えあう展開は、死を目の前にした厳粛さを漂わせつつも爽やかな後味を残す

美女の誘いを拒絶し、家族のもとへ帰るカーターを堅物と言うのは簡単だ。しかしそれもまた彼の偽らざる本当の自分であり、「解放」なのだ。「棺おけリスト」を実行することで本来の自分に帰る、という映画の主題を見事に消化するプロット上の仕掛けだ*1。この辺のバランスの取り方が実にうまい。甘いの堅いの言われようがこの映画はそれでいいし、そうでなければならない

死を取り扱いながら重すぎず軽すぎず、誰もが楽しめるつくりになっている。尺も無駄に長くないのも良い。大傑作とは言わないまでも、いろんな意味でバランスの良い作品だ

*1:と思っていたらこういうアホなことを書く映画評論家がいて呆れてしまった