「アップルシード」
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2004/11/25
- メディア: DVD
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わしは原作をまったく読んだことがないのだが、物語にはまったく目新しさを感じない。むしろ、最後の世界大戦後の世界で、未来の主導権をかけたバイオロイドと人間の戦い(?)という設定には、いささか古さを感じた
映像は確かに凄い。CGでここまでできるのか?と思わせるような映像の連続で、海の波や地面を叩く雨の表現の細かさには驚かされた。が、どうもノレない。アクションシーンでカメラ位置が頻繁に切り替わるカットの割り方は見ていて疲れる上に、空間の感覚が希薄なせいか今ひとつ臨場感に欠ける
サイバーチックな町並みやメカを見せる場面ではやたらと俯瞰の視点を多用する割に、人物は思わず辟易してしまうほど顔のアップが続く。まるで人形劇を見るようなつるりとした質感の人物が実写と見紛うばかりの背景と組み合わさった絵は違和感がある。モーションキャプチャーを使用したという人物の動きもリアルさよりも気持ち悪さの方が先行してしまい、生理的に受け付けられなかった
物語の方に視点を移しても、設定そのものは目新しさが無い分わかりやすいのは良いのだが、テーマが壮大な割には筋書きが陳腐。主人公の恋や幼児期の謎に関する物語も表面的かつ記号的にしか描かれないため、まったく感情移入できなかった
オールCGでサイバーな未来世界を映像化したいという試みはわかるが、いかんせんアイデアが古い。メカニックデザインや格闘アクションも10年前なら「スタイリッシュ」ということになったかもしれないが、ゲームなどでさんざん似たような映像を目にした後だと使い古しの感が否めない。もう少し新しい試みが欲しかったというのが正直なところだ