カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

「フラガール」

久しぶりに一人で映画を観に行った。「父親たちの星条旗」でも良かったのだが、もうすぐ上映期間が終わってしまうこともあって「フラガール」を観ておくことにした

昭和40年、廃坑寸前の炭鉱町いわき。廃れ行く石炭産業に代わる雇用の受け入れ先として構想されたハワイアンセンターの目玉はフラダンスショー。募集された地元娘たちは今まで見たこともないフラダンスにとまどいながらも取り組み始める、、、といったストーリー。要するにフラダンスがブラスバンドになれば「ブラス!」、男性ストリップになれば「フルモンティ」(製鉄所だけど)、男の子のバレーになれば「リトルダンサー」、ロケット開発なら「遠い空の向こうに」etc.etc...というように「フラダンス」という着想以外の部分は如何様にも転用可能な、映画として非常に作りやすい物語になっている。これはもはや映画の一ジャンルと言って差し支えないように思うので、わしは「パクリ」などと野暮なことを言うつもりは毛頭ない

ベースとなっているのが実話なせいか、エピソードの積み重ねの部分が今ひとつちぐはぐ。どうしても箇条書きのように並べ立てるだけで、背景や伏線になるべき事象があまり見当たらない。そのため登場人物たちの成長も挫折も変化もどこか唐突な感が否めない。「やさぐれコーチ」はいつの間にやら「情愛と熱意の人」になっているし、リズム感のかけらもなかった踊り子たちはさほどの努力もないままプロのダンサーへと変貌を遂げている。物語の組み立てそのものはいわゆる「スポ根」の亜種であるはずなのだが、この手の物語に不可欠なはずの「変化のきっかけ」や「成長のヒント」を描かなかったのは、映画の方法論から見ると致命的欠陥と言わざるを得ない

とは言え、全体的な流れは掴みやすいので、ツッコミを入れつつもサラッと観られるお手軽感はある。娯楽作として十分に及第点を与えられる作品だと思うが、そうなったのは役者の熱演に拠るところが大きい

正直に言うとわしは「笑い」の部分がまったく素直に笑えなかったし、「泣き」に走る演出にもイマイチ入り込めなかった。それでも楽しめたのは蒼井優演じる主人公、松雪泰子演じるダンスコーチなどのキャラクターの魅力のおかげだろう。演出とストーリーのツッコミどころは別にして、蒼井優松雪泰子のダンスだけでも一見の価値はある。

フラダンスに挑む娘たちの中では、冒頭で主人公をフラダンスに引き込む友人を演じた徳永えりが良かった。貧しいながらも明るく朗らかに生きる彼女の姿はとてもキュート。なかなかに存在感があるので、わしは映画の途中までこの子が主人公なのかと勘違いしていたほど。それだけに映画の中盤で退場してしまうのが非常に残念。しずちゃんこと山崎静代も悪くなかったが、いつものまんまのキャラクターでただただ押し切ったという感じ。まあ彼女の場合はあの「佇まい」がすべてなのでそれでよいのだろう。できればダンサー一人ひとりのキャラクターをもっと掘り下げてほしいとも思ったが、こればかりは作り手の取捨選択なので致し方あるまい。むしろやりすぎて尺が長くなりすぎなかったことを積極的に評価したい