カメラと映画と日本が好き

平成27年6月にはてなダイアリーから引っ越し。岩手県在住の49歳会社員。某マスコミに近いところ勤務。家族:相方&息子 祖国の未来を憂い、特定アジアと国内の反日分子を叩くことに燃えつつ、のほほんと写真を撮ったり映画を観たりするのを趣味とする男の日々。平成26年に突如としてランニングをはじめ、現在ドハマり中

キンキーブーツ

以前から観たいと思いつつ見逃していた「キンキーブーツ」。ようやくWOWOWで放送されたので鑑賞

キンキーブーツ [DVD]

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 田舎町ノーサンプトンの伝統ある靴工場「プライス社」。その跡取り息子チャーリーは、婚約者のロンドン転勤を機に都会暮らしを満喫しようとしていた。ところがロンドンに到着早々父親が急死。4代目社長として工場を引き継ぐこととなったチャーリーだったが、工場の経営は火の車。できることは従業員をリストラすることだけという有様。なんとか工場を救おうと奮闘するチャーリーは、解雇した従業員にヒントを得てニッチ(隙間)産業への食い込みに活路を見出す。そんなある日、ロンドンの街角でドラッグクイーンのローラと知り合う。ローラが自分に合うブーツを探していることを知ったチャーリーは、保守的な従業員たちの反発に合いながらもドラッグクイーンの体重を支え得る丈夫さとセクシーさを兼ね備えたブーツの製作に取り組む、、、といったストーリー

とにかくキャラクターが魅力的。ローラはともかく、そのほかの登場人物は皆地味なのだが、一つの目標に向かって突き進む姿が美しく格好良い。事業の方向転換を模索するチャーリーと自分好みのブーツを欲するローラの利害が一致したとき、物語は俄然面白さを増して怒涛のごとく展開していく。ここに「自分らしく生きたい」と願う両者の心の解放、さらには保守的な思考に凝り固まった従業員たちの成長と旧弊からの脱却のドラマをも同時に盛り込んだ脚本が秀逸。この手の作品にお定まりの浄化のドラマも男性工員とローラのやりとりを通じて巧みに描かれ、実に清々しい後味を残す。更にこの2人のやりとりには「本当の男らしさ」という映画のサブテーマが重なっている。やや盛り込みすぎの感も無いではないが、わしはこの構成の巧妙さに唸らされてしまった

映画は「困難な状況から脱却するために費やされる常軌を逸したエネルギー」をひたすら肯定的に描く。そのため、工場を売却してマンションに建て替えようと画策するチャーリーの婚約者がこの2人と対比する形であたかも「悪役」のように描かれてしまっているのがちょっと可哀想。少し視点を変えれば彼女の望みは「豊かで幸せな生活」という至極当たり前の欲求であって、チャーリーよりもはるかに現実的かつ常識的であるとすら言えるのだが、そこに若干否定的な印象が残ってしまったのは残念だった。まあ、それとて強引に減点要素を探せば、という程度のものではあるが

ミラノの見本市でのショーの場面は音楽の選曲、アレンジ、役者の歌唱ともに素晴らしく、見ているだけで楽しい。2005年の公開作だが、今年わしが観た中ではイチオシの作品だ