キンキーブーツ
以前から観たいと思いつつ見逃していた「キンキーブーツ」。ようやくWOWOWで放送されたので鑑賞
- 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
- 発売日: 2007/02/23
- メディア: DVD
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とにかくキャラクターが魅力的。ローラはともかく、そのほかの登場人物は皆地味なのだが、一つの目標に向かって突き進む姿が美しく格好良い。事業の方向転換を模索するチャーリーと自分好みのブーツを欲するローラの利害が一致したとき、物語は俄然面白さを増して怒涛のごとく展開していく。ここに「自分らしく生きたい」と願う両者の心の解放、さらには保守的な思考に凝り固まった従業員たちの成長と旧弊からの脱却のドラマをも同時に盛り込んだ脚本が秀逸。この手の作品にお定まりの浄化のドラマも男性工員とローラのやりとりを通じて巧みに描かれ、実に清々しい後味を残す。更にこの2人のやりとりには「本当の男らしさ」という映画のサブテーマが重なっている。やや盛り込みすぎの感も無いではないが、わしはこの構成の巧妙さに唸らされてしまった
映画は「困難な状況から脱却するために費やされる常軌を逸したエネルギー」をひたすら肯定的に描く。そのため、工場を売却してマンションに建て替えようと画策するチャーリーの婚約者がこの2人と対比する形であたかも「悪役」のように描かれてしまっているのがちょっと可哀想。少し視点を変えれば彼女の望みは「豊かで幸せな生活」という至極当たり前の欲求であって、チャーリーよりもはるかに現実的かつ常識的であるとすら言えるのだが、そこに若干否定的な印象が残ってしまったのは残念だった。まあ、それとて強引に減点要素を探せば、という程度のものではあるが
ミラノの見本市でのショーの場面は音楽の選曲、アレンジ、役者の歌唱ともに素晴らしく、見ているだけで楽しい。2005年の公開作だが、今年わしが観た中ではイチオシの作品だ